「幻の湖」とは?

幻の湖」が公開されたのは、1982年9月11日でした。

上映時間は164分。

東宝50周年記念映画で、大ヒット作品「砂の器」、「八甲田山」に続く橋本プロ制作です。

原作・脚本・監督は黒澤明監督作品の懐刀と言っていい脚本家橋本忍。

橋本が最終的な脚本が完成するまで2年を要したネオ・サスペンス大作です。

主役は1627人の応募者から選ばれた南條玲子。

脇を固めるは隆大介、長谷川初範にかたせ梨乃など錚々たる顔ぶれ。

ここまでは、カルト映画になる要素は微塵もありません。

では、あらすじを御覧下さい。

いろんな意味で驚きます。ぶっ飛ぶ。いや、人によってはビビっと来るかも。

映画「幻の湖」あらすじ

雄琴のソープランド街、「お市」の源氏名で働くソープ嬢道子は、愛犬シロと琵琶湖の西岸でマラソンをするのが日課。そんな彼女が近頃気になっているのは、葛篭尾崎の付近を走っていると時折聞こえる、哀しげな笛の音だった。

そんなある日、道子の心の支えだった愛犬のシロが和邇浜で殺されているのが見つかる。凶器の包丁を手に入れ、様々な証言をもとに犯人が東京の作曲家日夏という男だと探りあてたものの、警察は頼りにならず、道子は自ら東京へと乗り込む。

かつて道子の店にソープ嬢として潜入していた米国の諜報員ローザの尽力で、日夏の住所とジョギングが趣味であることを知った道子は、得意のマラソンで日夏を「倒れるまで走らせてやる」と決意する。

復讐決行の日。道子はジョギングに出かける日夏の後をつけ、駒沢オリンピック公園に入った所で日夏を後ろから執拗にあおる。しかし都会の空気に不慣れな道子はペースを乱し、スパートをかけた日夏に逃げ去られてしまう。肉体的にも精神的にも敗北感にさいなまれ、道子は公園をさまよう。

復讐に失敗し雄琴に帰った失意の道子を待っていたのは、知り合いの銀行員倉田からのドライブの誘い、そして求婚だった。初めて琵琶湖の東岸を旅したことで暗い情念からも解放された道子は、倉田の求婚を受け入れる。

そんな折、道子は葛篭尾崎で、かの哀しげな笛を吹いていた男、長尾に出会う。

長尾が笛の由来として話すのは戦国時代、近江の浅井長政の妻「お市」にまつわる、哀しい物語だった。長尾はその哀しげな笛で、織田信長に殺され葛篭尾崎に沈められたお市の侍女「みつ」の魂を鎮めていたのだ。長尾はみつの笛を受け継いだ子孫で、NASAで働く長尾は、近く宇宙へ飛び立つのだという。

長尾の話を通じ、史実の「お市」もまた、大切な人をシロのように理不尽に殺されていたことを知った道子は、自分の源氏名だったお市の存在に深く共感し、涙を流す。

結婚のためソープ嬢を辞めようとしていた矢先、偶然に作曲家の日夏が雄琴の道子の店に現れる。お市とみつの伝説を聞きつけたという日夏は「琵琶湖に沈んだ女の恨み節を書きに来た」と軽薄に笑う。激しい怨念の虜となった道子は、シロを殺した凶器の包丁を取り出し、日夏を追い回す。

日夏は店の外に逃げ出し、琵琶湖のほとりで過酷なマラソン対決が始まる。シロや倉田の幻にも支えられ、日夏を追って追ってひたすら追いかけた道子は、琵琶湖大橋のたもとで、とうとう日夏に追いつく。

「勝ったわよ、シロ!」道子が日夏に包丁を突き刺した頃、長尾は地上から遥か離れた地球の衛星軌道にいた。長尾はスペースシャトルの船外に出て、琵琶湖の上空185キロの位置に鎮魂の笛を静止させた。琵琶湖の水が枯れ果て「幻の湖」となる遠い未来までも、笛が琵琶湖の怨念を鎮めることができるように…。

映画「幻の湖」が日本映画のカルトになった理由

https://youtu.be/a4Zw4JUecAU

どうです?

様々な疑問を巻き起こす突っ込み所満載のストーリー。

主人公はなぜ、風俗嬢でなければならなかったのか?という疑問もふつふつと沸きます。

同僚のソープ嬢がアメリカの情報機関の人間だとか、湖のほとりで笛を吹いている宇宙飛行士とか、キャラクター設定もあまりにエキセントリックすぎます。

仇が偶然現れて、主人公が共感をしている伝説をあざ笑うのもご都合主義の何者でもありません。

それに2時間44分。

長い。わからない。不思議。何が言いたかったんだろう?

たくさんの仏像の意味は?難解すぎる!

カルト映画の醍醐味

見終わって、誰かに話したい。それも、感動した、すげー良かった、共感した、カッコ良かったとかでない感想が言いたい。

それこそが、カルト映画の醍醐味であり条件だと筆者は考えます。

映画「幻の湖」はマスコミからも袋叩きに合い、客足が伸びずに公開からわずか19日で打ち切りになりました。

以降、2018年に亡くなるまで橋本の監督作品はありません。

ですが、橋本忍の脚本作品は「7人の侍」や「白い巨塔」、「羅生門」など、今尚、日本映画の金字塔として、海外からも評価が高いのも事実。

こんなカルト映画が一本くらいあってもいいじゃないか!
(ナイトメア・シンジ)

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