カルト映画「マタンゴ」

映画好き、特に特撮映画やホラー映画好きなら一度は耳にしたことのあるタイトルに違いありません。

「マタンゴ」は1963年8月11日に公開された映画で、いわゆる”変身人間シリーズ”の番外編的作品です。

”変身人間シリーズ”とは、東宝が作成した、「美女と液体人間」「電送人間」「ガス人間第一号」の3作のことで、科学技術により、変質したり、特殊能力を手に入れた人間が登場する映画です。

マタンゴの監督はあの「ゴジラ」シリーズの本多猪四郎。余談ですが、猪四郎と言う名前はイノシシ生まれの四男だったことから命名されたそうです。

特撮は先駆者円谷英二。こちらも余談ですけど、日本特撮映画の先駆者と呼ばれる円谷英二は乏しい予算や条件を補う為に特撮を始めたらしいです。

マタンゴ?

一度耳にしたら、離れないこの言葉。

この時点である意味カルトですよね?

キノコの種類、ママダンゴから取った造語で、マタンゴとは、”どこかの国が行った核実験で生まれたキノコ、あるいはキノコを食べた人間のなれの果てのこと”

映画マタンゴのあらすじ

 夜、東京医学センターの精神科に収容されている1人の青年が、自らが遭遇した恐怖の体験を語り始めるところから物語は始まります。

「みんな僕をキチガイだと思ってるんです。でも、僕の話を聞いたら、あなたも

僕をキチガイだと決めてしまうでしょう…」

ある日、豪華なヨット「アホウドリ」号で海に繰り出した7人の若い男女(クラブ歌手、作家、女子大生、大学教授、船長、ヨットマン、船主の社長)が嵐に遭って難破し、無人島に漂着します。そこは、カビと不気味なキノコに覆われた孤島。波打ち際で見つかった難破船には、少数の食料が残されていたものの生存者はおらず、「船員が日々消えていく」と書かれた日誌や、「キノコを食べるな」という警告が残っているだけ。当初は全員で協力していましたが、食料と女性を奪い合って対立する飢餓と不和の極限状態が訪れ、やがて7人の心はバラバラになっていきます。また、島の奥からは等身大のキノコに似た不気味な怪物が出没し始め、1人、また1人と禁断のキノコに手を出していく…。

唯一キノコに手を出さず怪物の魔手からも逃れて、ヨットで島を脱出した青年は幸運にも救助され、病院へ収容されることになりますが、そこは精神病院の鉄格子の中。難を逃れたはずが狂人として隔離されてしまった青年は、「戻ってきてキチガイにされるなら、自分もキノコを食べて島で暮らしたほうが幸せだった」と後悔します。病院関係者たちの好奇と畏怖の注目を集める青年の顔には、彼が島で見たキノコが生え始めていた…。

マタンゴはどうして日本のカルト映画になったのか?

マタンゴを食した人間は、やがて身体が次第にキノコの胞子で覆われて、それに連れて知性は失われ、成体に変身してしまえば、人としての自我は消滅してしまうのです。

ホラー映画でありながら、飢餓状態と絶望の淵に立たされた人間の醜さを丁寧に描いているから、一部のホラーファンからカルト映画として受け入れられたのかもしれません。

マタンゴの特殊メイクなどは今見ても、本当に不気味で気持ち悪いです。

実は筆者も多感な子供時代に見て、夜蒲団の中でマタンゴ化した人間が襲ってきたら、どうしようと考えて眠れぬ夜を過ごしたことがあります。

大人になり、改めて見ると、そこには見慣れない者の先入観こそ、実は怖いという寓話がシニカルに盛り込まれていることがわかります。

映画のラスト、

現代社会の日本に戻ってきた彼はそこではもう”異形のマタンゴ”と変わらない扱いを人々から受けるのです。

夏のお盆の時期に恐怖映画は日本の伝統。でも、まったく違う映画を組み合わせた上映、今ではかんがえられないですよね?

昔は二本立て、三本立ての映画はざらにありました。

今の若い人は驚くでしょうけど。

今ほど、たくさんの娯楽がなかった時代のことです。

(ナイトメア・シンジ)

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