カルト洋画「ビデオドローム」は1982年製作のカナダ映画です。
日本では、1985年6月22日に公開されました。
監督・脚本は「スキャナーズ」や「ザ・フライ」の鬼才ディビッド・クローネンバーグ。
出演は「ザ・コップ」のジェームズ・ウッズ。
ロックバンド「ブロンディ」のボーカル、デボラ・ハリー。
上映時間は87分。
ジャンルはサスペンス?ファンタジー?悩むところです。
では、あらすじをお読みください。
カルト洋画「ビデオドローム」あらすじ
弱小ケーブルTV局『CIVIC-TV』の社長、マックス・レンは、セックスや暴力など放送の目玉となりそうな刺激的で過激な映像を日々探し求めている。ある日、彼はどこからか放送されている「ビデオドローム」なる海賊番組の存在を知る。
筋書きもなく、ただ拷問や殺人の場面が延々と本物のように繰り返されるその生々しさと迫力にマックスは驚かされる。
友人のエンジニアによると、放送は衛星中継され、海外からのように偽装されているが、どうやら、国内のピッツバーグが発信源であるという。
マックスは「ビデオドローム」を手に入れようとする。しかし「ビデオドローム」は、全てが謎に包まれていた。
ビデオに夢中になるマックスと恋人のニッキー。そのニッキーが姿を消す。どうやら、ピッツバーグに向かったらしい。マックスもピッツバーグへと向かい、映像の生みの親らしいオブリビアン教授に接触を図るが、ニッキーは見つからない。代わりにマックス何本かのビデオを手に入れることに成功。同時にマックスはおかしな幻覚を見るようになる。
深く関わるのは危険だと忠告され、ビデオの拷問や殺人が本物であると聞かされても、耳を貸さないマックス。
だが、ビデオテープには、驚くべき物語が記録されていた。
それは「ビデオドローム」を視聴したことによって、現実が変容していくという恐ろしい体験を語ったものだった。
教授はすでにビデオの世界の中に取り込まれ、現実に戻ることが出来ないと言う。そのイメージはすでにマックスの前にも現れ、説明のつかない現象が起き始める。やがて、マックスは「ビデオドローム」のイメージに支配され、心の平衡を失い、銃で人を殺し始める。すると、今度はテレビの中にニッキーが現れ、マックスに今度は自分に銃をつきつけるように要求するのだった…。
映画「ビデオドローム」がカルト映画になった背景
公開当時はヒットせず、制作費の半分も回収できませんでした。
映画「ビデオドローム」が難解だったためです。
ストーリーは前述の通りですが、物語をサンドイッチする映像が凄い。
縮んだり膨れたりするビデオープ、生きているかのようなテレビ、そのテレビを赤い部屋で鞭打つマックス。
手と一体化する拳銃。
身体の一部が女性化するマックス。
などなど。
残酷で、気持ち悪く、クローネンバーグのお得意のベットリとした内臓感覚たっぷり。
そのお口あんぐりの驚異のSFX、”特殊メイク”を手がけたのは、リック・ベイカー。
ベイカーは前年のアメリカ映画「狼男アメリカン」でアカデミー賞のメイクアップ賞を受賞しています。
(メイクアップ賞は1982年に新設されました。リック・ベイカーは初代受賞者)
1983年にはマイケル・ジャクソンの今や伝説的ミュージックビデオ「スリラー」の特殊メイクをも担当しています。
「ビデオドローム」がカルト映画として、もてはやされたのは、それまで、縁の下の力持ち的存在だった”特殊メイク”にスポットが当てられたことは大きいと筆者は考えます。
カルト洋画「ビデオドローム」の凄さ
1985年5月、クローネンバーグは自分の映画「ビデオドローム」についてこんな事を言っています。
「この映画をジェームズ・ボンド映画のようにストレートに描くことも出来ました。脚本を書き始めた時はそうなるはずでしたが、実際はあんな複雑な方向に進んでしまったのです。その方が私もずっと面白かったから。観客にとっては難しい映画になったと思います。もし、私が映画館に入って「ビデオドローム」を見たら、好きになるとは言い切れませんよ」
作ったご本人がそう言ってるんだから、間違いありません。
複雑・怪奇・奇想天外。
カルト洋画です。
映画「ビデオドローム」はビデオ化されて、人気に火がつきました。
題名通りに。
コレこそ、カルト。
注:「ヴィデオ・ドローム」と書く場合もあります。
(ナイトメア・シンジ)
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