世の中には、”天才的な演技”をする俳優がいます。
”演技の世界において、天才と思う俳優は誰か?”という問いかけに様々な人が色々な役者の名前を言います。

天才的演技とは?


筆者はあえて、その質問に映画タイトルを挙げます。その映画は「スリー・ビルボード」。

答えはここにあります。

では、”俳優を志す人”に見て欲しいクライム・サスペンス映画「スリー・ビルボード」をご紹介します。

映画「スリー・ビルボード」

2017年のアメリカ映画です。
原題は「Three Billboards Outside Ebbing, Missouri」
(ミズーリ州エビング郊外の三枚の広告看板の意味)
上映時間は116分。
日本公開は2018年2月1日。

映画「スリー・ビルボード」のあらすじの導入部だけご紹介します。

アメリカのミズーリ州のエビング。
7か月前、ミルドレッドは何者かに娘を殺される。
警察の捜査が一向に進展しないことに腹を立てたミルドレッドは、大通りに面した3枚の広告看板に警察署長のウィロビーを批判するメッセージを掲げる。
閑静な田舎町は注目を集め、ウィロビーを敬愛する町の人々はミルドレッドに腹を立てて敵視し始める。
ミルドレッドは次第に孤立無援になってゆく…。
(今回はネタバレなし)

監督・脚本はマーティン・マクドナー。
マーティン・マクドナーはイギリスロンドン出身。
劇作家としてデビューし、監督初デビュー映画「ヒットマンズ・レクイエム」(2008年)でいきなり、アカデミー脚本賞にノミネート。
この映画「スリー・ビルボード」で第74回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞しました。

映画「スリー・ビルボード」の出演者をご紹介

主演のミルドレッドにフランシス・マクドーマント。
フランシス・マクドーマントは1957年生まれ、アメリカのイリノイ州出身。
映画「ミシシッピーバーニング」(1988年)、映画「あの頃ペニーレインと」(2000年)映画「スタンドアップ」(2005年)でアカデミー賞にノミネート。
映画「ファーゴ」(1996年)と「スリー・ビルボード」でアカデミー主演女優賞を獲得しています。
(夫は映画監督のジョエル・コーエン)

卓越した演技者

共演者のサム・ロックウェルがフランシス・マクドーマントについて「ジーン・ハックマン、ジョン・マルコヴィッチ、ヒラリー・スワンクと同じような偉大な俳優の一人」と述べています。
(映画「あの頃ペニーレインと」と映画「スリー・ビルボード」では、母親役ですが、対極の演技です。ファーゴの妊娠した警察署長役も素晴らしいですが、この演技のふり幅、ハンパなし。映画「スリー・ビルボード」で若者達を蹴り飛ばすシーンを見よ!)

警察署長ウィロビー役にウディ・ハレルソン。
ウディ・ハレルソンは1961年生まれ、アメリカのテキサス州出身。映画「ラリー・フロント」(1996年)、映画「メッセンジャー」(2009年)でアカデミー賞にノミネート。
(ちなみに映画「幸福の条件」(1994年)では、ゴールデンラズベリー賞最低助演男優賞も受賞しています)

ウディ・ハレルソンは、この映画「スリー・ビルボード」で、病に冒された温厚な警察署長役を見事に演じています。
(映画「ナチュラル・ボーン・キラーズ」(1994)の殺人者ミッキーからは想像できない)

映画「スリー・ビルボード」で筆者が最も感銘を受けたのが、サム・ロックウェルの演技です。

サム・ロックウェルは、この作品でウィロビーを慕うディクソン巡査役を演じています。
(映画「スリー・ビルボード」で当然のごとくアカデミー助演男優賞を受賞しました)

サム・ロックウェルは1968年生まれ、アメリカのカリフォルニア州出身。
(筆者は映画「バッド・バディ!彼と私の暗殺デート」(2015年)の伝説のヒットマン役のクレイジーな演技にシビレました。共演のアナ・ケンドリックとの掛け合いもイイ)

サム・ロックウェル演じるディクソン巡査は昇進試験にことごとく落ちていて、人種差別主義者。すぐにキレます。

そのディクソンが後半、”あることがきっかけで”ガラリと変わります。
脚本も秀逸ですが、その難しい役を見事にこなすサム・ロックウェルの俳優としての凄さを見て欲しい。
(フランシス・マクドーマントとウディ・ハレルソンも、この映画「スリー・ビルボード」のサム・ロックウェルの演技を絶賛しています)

ミルドレッドの元夫、チャーリーにジョン・ホークス。
(映画「ウィンターズ・ボーン」(2010年)の冷徹なティア・ドロップ役でアカデミー助演男優賞受賞。映画「スリー・ビルボード」では、なんと19歳の女性と交際しているおっさんを好演)

ミルドレッドの長男で姉を殺されたロビーにルーカス・ヘッジス。
(映画「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(2017年)でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたことは記憶に新しい。映画「スリー・ビルボード」ではミルドレッドの行動に悩む少年役。自然な演技には舌を巻く)

そして、ミルドレッドに広告版を貸す若き広告代理店経営者にケイレブ・ランドリー・ジョーンズ。
(佳作ホラー映画「ゲット・アウト」のアミテージ家の長男役でアカデミー助演男優賞にノミネート。現在、最も注目されている若手俳優の一人。映画「スリー・ビルボード」のサム・ロックウェルとの病院での共演シーンは必見です)

https://youtu.be/UO3Mw4BP0tw?si=f9WkRXllRmtqRvHM

俳優で見よ!

これだけ、芝居の上手な俳優が揃っているなら見るべし。
(天才的演技をする役者が画面に溢れている)

天才的俳優とは?

いきなり台本を渡され、一度読んだだけで天才的な演技をする役者のこと?

否。

筆者は見たことはありません。

トーマス・エジソンの言葉。

” Genius is 1 percent inspiration and 99 percent perspiration.”
( 天才とは、1%のひらめきと99%の努力である)

努力あっての天才。

努力しない名優はいません。

事実、サム・ロックウェルも”入念な下準備”をして映画「スリー・ビルボード」の撮影に望んだとインタビューで答えています。

俳優は入念な役作りをするべき。
いい演技をしたいなら。

映画「スリー・ビルボード」を作ったFOXサーチライトは1994年設立。
映画「フルモンティ」(1997年)や映画「リトル・ミス・サンシャイン」(2006年)、「JUNO/ジュノ」(2007年)など”良い作品”をハリウッド大作とは違い、低予算ながら新しい才能に力を貸している映画会社のひとつです。

素晴らしい俳優が共演する映画「スリー・ビルボード」は見るべき映画。

”今宵も悪夢は世界のどこかで誰かが見る”

(ナイトメア・シンジ)

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